更年期とは
「更年期」とは閉経に近づくにつれて現れるからだの変調が続く時期をいいます。閉経をはさんでおよそ10年くらいの期間をいいます。
その更年期に現れる不調で,日常生活などに影響する程度のものを「更年期障害」と呼びます。
閉経とは
閉経は月経が来なくなったら,はいそこからと判断することができません。その後1年ほど様子を見てから判断することになっています。ただし病気などですでに子宮を摘出しまっている場合は,ホルモン値で判定します。具体的には卵巣刺激ホルモンFSHが40以上,かつ卵胞ホルモン(エストロゲンE2)が20以下となっています。
閉経を迎える平均年齢はおよそ49歳,50~52歳くらいまでに8割の女性の方が閉経します。
女性ホルモンの変化と影響
閉経に近づくにつれて卵巣機能の低下とともなって減少していくのがエストロゲンというホルモンです。卵巣は30代くらいで15グラムほどの重さがありますが,50代になると5グラム程度まで委縮してしまいます。エストロゲンはとても“女性らしさ”に関係するホルモンなのですが,年齢的には37~38歳の頃から急激に減少しだします。
年齢とともに減少するエストロゲンによる影響は,40歳を迎えたころから徐々にからだやこころに時間的に現れます。
第一段階 月経周期がだんだんと長くなってきて(稀発月経),生理に関係なく出血することが起こります(不正出血)。
第二段階 だんだんと閉経に近づくと自律神経が乱れてくることから,のぼせ(ホットフラッシュ),異常な汗,めまいなどが起こります。この変化は閉経してから1~2年後くらいがもっとも強く現れます。
第三段階 体調の変化にとまどいながら,乳房の下垂など女性らしさが失われていくのと体力の低下などからこころのほうにも影響が現れます。頭重感,だるさ,不眠,憂うつ感や記憶力の低下などがあります。
第四段階 泌尿器や生殖器にも変化が現れてきます。尿失禁や膣の乾燥による膣炎,かゆみの強さは閉経してからおよそ10年後がもっとも強く現れます。
第五段階 そして脂肪がつきやすくなり高血圧や動脈硬化,骨粗しょうなどに悩まされるようになります。
生活ストレスによるこころへの影響
更年期における,女性をとりまく背景 更年期の女性のこころは,迫りくる老いの予感,子供の自立による自身の役割の喪失,定年を迎えた夫や親の介護といった生活のストレスから生じることによる,肉体的かつ精神的な負担によるネガティブな喪失感が注目されやすくなります。
- 自身に現れるネガティブ感
閉経や乳房下垂など女性らしい肉体と体力の喪失に直面し,老化に対する不安や恐れが増大します - 家族の変化で現れるネガティブ感
子供の自立や孫の誕生,定年退職の夫,親の介護など身近にいる人の変化,また経済的変化もみられ新たな生活のストレスが生じます - 身近な人物の離別による喪失感
子供の自立のほか知り合いや身内の不幸,夫の病気や入院,死別など起こる時期にさしかかるのでこれらの喪失感がストレスになります - 自身に迫る限界の自覚
寝不足や倦怠感,体力,気力の低下により自身の限界を感じるようになり,ネガティブな感情に支配されやすくなります
まとめ
更年期に現れる変調の強度には心理面に受ける社会因子が大きく影響していることは述べました。変調を訴える女性の多くはうつ,不安,適応障害といった精神的なものが多く,また肉体的な訴えそのものが心身的な悩みの中心になっていることがあります。
- 閉経を判断するにはおよそ1年様子をみる
- 更年期とは閉経を挟んだ10年くらいの期間である
- 女性ホルモンの減少とともに徐々に現れてくる
- 生活ストレスからくる喪失感や心理的社会因子が大きく影響する
- 心理面の変調,またそれが原因で現れる肉体的変調も認められる